「退職金専用・定期預金」がいいって本当? 私はやめときました。
退職金専用の定期預金があるのをご存知でしょうか?
先日、この「退職金専用定期」についての記事を見かけました。
使わない手はない!「退職金専用定期」は通常金利の1000倍も!? | 知らないと大損する! 定年前後のお金の正解 | ダイヤモンド・オンライン
記事の要約は以下です。
- 「退職金専用定期」とは退職時期に限って、0・5~2%程度の高い金利となる定期預金
- 1~6ヵ月程度の期間限定であるため、そのまま置いておくと通常の低い金利になる。そこで、優遇期間が過ぎたら、また別の銀行の「退職金専用定期」に切り替えることで、高金利を維持できる
- 投資信託やファンドラップなどのリスク商品と抱き合わせ販売されているものには注意する
アーリーリタイア、セミリタイアに限らず、退職金の預け先については多くの方が気になるところだと思います。
大手銀行の定期預金は0.002%(税引き前)ですので、もし2%というのが本当であれば確かに1000倍の高金利です。
金利が高い「ネット銀行」でも0.2~0.3%くらいが上限となっている時代に、そんなにうまい話があるのでしょうか?
ちょっと調べてみたのでご紹介します。
結論としては、最初の1年(長くて2年)に限っては、ネット銀行よりも高金利にできる可能性はありそうでした。
しかし、その手間や労力を考えると「やったほうがいいよ」とお勧めできるものではなかったです。
「退職金専用定期」は本当にお得か?
記事の要約にあるように、高金利の期間は長くても半年以内という限定的なものです。
したがって、「別の銀行に切り替え続ける」ということが必要になります。
しかし、実際にいくつかの銀行のホームページなどを確認すると、実にいろいろな「制約条件」がありました。
代表的なものをご紹介します。
- 退職から半年~2年以内の預け入れが条件(1年以内が標準)
- 優遇金利の期間は3か月程度が標準
- 店舗窓口での口座開設が必要(インターネット開設できない)
- 「銀行の営業エリア内に居住または勤務している」、「年金の受け取り口座に指定する」などの条件があるケースも多い
まず、年利〇〇%(3か月まで)という記載に注意が必要です。
たとえば年利1.6%(3か月まで)なら、12か月分の3か月(4分の1)なので、実際の金利は0.4%となります。
そして、金利が高いほど、いろいろな制約条件も強くなる傾向があるようでした。
それはそうですよね。銀行目線だと「金利を高くしてでも預け入れして欲しい」理由があるでしょうから。
しかも低金利時代なので、各行とも金利はどんどん低くなっている傾向にあるようです。
色々な条件を自分で調べて検討する必要があるし、銀行の窓口まで行く時間と交通費も必要です。
費用対効果を考えてもお得といえるか、疑問を感じました。
それに、窓口で銀行員の勧誘などに耳を貸さず、解約を繰り返せる胆力も必要です。
色んなハードルがあって、とても私には無理そうかなと、、、
いちおう補足しておきますが、記事にある「投資信託やファンドラップなどのリスク商品との抱き合わせ販売には注意する」という点については、私も同意します。
理由は2つあって、「手数料が高い」「自分にあった商品が選べない」からです。
投資信託運用はネット証券から自分で選ぶことが必須です。
ご興味あれば関連記事をどうぞ。
結局、ネット銀行に預金することにしました。
退職金専用定期はいろいろ面倒そうなので、私は退職金をネット銀行に預けることにしました。
先日の記事でもご紹介した「あおぞら銀行BANK支店」では、普通預金が0.2%(税引き前)と破格の高金利となっています。
リタイア資金はどこに預けるのがよいか?~大手銀行の200倍金利のネット銀行で口座開設してみた
あおぞら銀行BANK支店には普通預金で預けているため、いつでも引き出し可能です。
一方、当面は使わない現金については、定期預金できないかと探していました。
そこで見つけたのが「オリックス銀行」の「eダイレクト定期預金」です。
※6か月~2年は単利計算、3年と5年は半年複利計算。
預け入れ金額の下限は、期間にかかわらず100万円以上です。
100万円を5年間預けた場合に得られる、税引き後の利息を、メガバンク(金利0.002%)の場合と比べてみましょう。
メガバンクの定期預金:79円
オリックス銀行(eダイレクト5年定期):11,227円
退職金だと100万円より高額になる場合もあるでしょうから、さらに金額差は大きくなります。
※1,000万円まで、預金保険制度(ペイオフ)の対象として保護されます。
注意点として、オリックス銀行のeダイレクト預金は、「インターネット専用」です。
通帳や印鑑だけでなく、「キャッシュカード」すらありません。
ATMから現金引き出しできませんが、普段使いではない「定期預金」目的であれば問題ないかと。
なお、他行への振り込み手数料は、月2回までは無料、3回目以降は1回あたり440円(消費税込み)となっています。
私は「5年間は使う可能性が低いだろう」と思われる金額を、eダイレクト定期預金に預けることにしました。
なお、セミリタイア資産配分の考えかたについては、下記の記事でご紹介しています。
セミリタイア後の資産をどのように運用するか【アセットアロケーション】
さいごに
ネット銀行の場合、「人件費など経費をできるだけ減らして、高金利を実現しようとする」という発想だと思います。
加入側にもメリットがあって、インターネット上での申し込みはとても簡単です。
家から一歩も出ずに、30分もあれば手続き完了しました。
双方の手間を減らして、金利を上げるという方向性が、個人的に気に入っています。
一方で、退職金専用定期は、「金融商品の販売手数料で、高金利を実現しようとする」という仕組みになるのかなと。
言いかたは悪いかもしれませんが、銀行側の思惑に影響されず、高金利の部分だけを拾うことができればお得になると、、、
そういう感じがあまり好きにはなれませんでした。