働き方改革が従業員のモチベーションを低下させるメカニズムとは
こんにちは。
政府主導の働き方改革が進められるなか、職場では残業削減や年休取得推進など、労働時間を減らすことに焦点が当てられています。
たしかに常識を超えた多残業は解消せねばなりませんが、とくにブラックでもない普通の企業で労働時間だけを減らそうとすると、思わぬ弊害が発生します。
それは、『社員が常に時間に追われて身動きが取れなくなり、新しいことにチャレンジするモチベーションがなくなっていくこと』です。
今回は、間違った働き方改革の進め方が、従業員のモチベーションを低下させるメカニズムについて説明します。
働き方改革が従業員のモチベーションを低下させるメカニズム
「弊社では働き方改革を推進した結果、前年より残業は〇〇%減少、年休取得率は〇〇%向上しました」
ある企業がもしこのような報告をしたら、「ちゃんとやっているな」「ホワイト企業の見本だな」と評価されるかもしれません。
しかし、実際には業務量は減らず、効率化も進んでいないのに、労働時間だけが減っている可能性があります。
どうすればそんなことが可能かというと、「従業員ががむしゃらに頑張っている」からです。
仕事の全体量が変わらないのに、それを短い時間で終わらせようとすると、無理をしてハイペースで働くことになります。
これは例えるなら、マラソンをオーバーペースで走っている状態です。そのまま走り続けたら、42.195キロを走りきる前に力尽きてしまうでしょう。
パーソル総合研究所の調査結果でも、働き方改革が『残業時間の上限規制』中心に進み、業務量減少や効率性の向上が遅れていることが、現場・管理職の負担感を増加させていることを示唆しています。
(出典):中間管理職の就業負担に関する定量調査
従業員の負担感が増す(いつも時間に追われている感覚になる)ことで、モチベーションは下がっていきます。
その結果、新しい価値を生み出すような創造的な仕事ができなくなったり、離職に繋がる可能性があります。
モチベーションアップのために必要なことは?
現場のことをちゃんと見ていない企業や組織のトップは、「みなが頑張って働いて残業削減できたならいいじゃないか」とか「いままではサボってる人がいたんじゃないか?」などと言い出しかねません。
しかし、人間はロボットとは違い、ずっと全力では走れません。
適度に休憩したり、自分にあったペースで進んだほうが、長期間にわたり仕事のパフォーマンスを高く維持できます。
負担感の増大やモチベーション低下を防ぐためには、単に労働時間の削減目標だけ掲げるのではなく、次のような業務量削減や効率化推進の取り組みを導入すべきです。
- やらなくてよい仕事を決める(無くす)
- ITの導入などにより業務を効率化する(減らす)
- 仕組みやルールを見直す(代える)
従業員がイキイキと働けるよう、企業や組織のトップには働き方改革を上手に進めていただきたいです。
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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