セミリタイア資産を投資信託で運用する理由について
アーリーリタイア、セミリタイアに資産運用が必要かどうかは、人それぞれの事情により異なるところです。
私は、リタイア年齢が低いほど資産運用はしたほうがよいと考えています。
なぜなら、資産運用について勉強する時間がたくさんあるし、運用期間が長いほどリスク分散効果や複利効果も高くなるからです。
そして、私自身は「投資信託」を資産運用の中心軸に置いています。
投資信託を選択している理由は、コストパフォーマンスがもっとも高い方法だと考えているからです。
本記事では、なぜ投資信託のコスパが良いと考えているかについて、ご紹介します。
資産運用や投資信託にご興味ある方の参考になればと思います。
投資信託とはなにか
簡単に言うと「投資信託とは複数の株式や債券などを詰め合わせたセット商品」です。
「外国株式型」の投資信託を例にとって説明します。
通常の株式投資では、ひとつの銘柄(会社)を選んでその株式を売買します。
株式の値段(株価)は大きく変動するため、高いリターン(利益)が狙える半面、大きな損失となる可能性もあります。
一方、投資信託の値段(基準価格)は一つの会社ではなく、多くの会社の平均的な株価の値動きに連動して、変動します。
たとえば、アメリカの代表的な企業500社の株価指数である「S&P500」に連動した投資信託があります。
500社にも分散して投資することになるので、単一銘柄の場合と比べて値動きの幅は小さくなります。
アメリカの企業だけでなく、先進国株式、全世界株式など、より広い国や地域に分散した投資信託もあります。
また、株式以外にも、債券(国債や社債など)や不動産といった、様々な指数に連動した投資信託があります。
このように投資対象を広く分散できるのが、投資信託の大きな特徴です。
分散投資は、リスク(値動きの大きさ)を小さくする効果がある反面、大きなリターンは狙いにくいとも言えます。
もう1点、少額から購入できることも投資信託の特徴です。
ネット証券では最低100円から購入できるものもあり、「資産運用はお金持ちがするもの」という感覚はすでに過去のものとなりつつあります。
投資信託のコスパが良いと考える理由
なぜ、投資信託のコスパが良いと考えているかというと、期待される成果が比較的高いわりに、運用の手間はかからないからです。
運用に手間がかからない
株式投資と比べてリスク(値動きの大きさ)が小さいとはいえ、投資信託の価格にも変動はあります。
株式型の投資信託であれば、購入後に株価指数が上がればリターンはプラスになりますが、下がればマイナスとなってしまいます。
そこでどうするか。答えは次の2つです。
・将来的に値上がりする可能性が高い株価指数に連動した投資信託を購入する
・短期的な値動きに惑わされず、長期間保有し続ける
つまり、投資信託による運用の成否に、「投資家としての知識や経験」のようなスキルはあまり必要ありません。
「最初にどんな銘柄を選択するか」と「長期運用できる時間(期間)があるか」の2つが重要なのです。
長期運用によるリターンの安定化
長期運用の重要性について、データを用いて説明します。
先にもご紹介した、米国株式の指数であるS&P500の過去30年の値動きをグラフ化しました。
(日本で購入することを想定して、円換算したグラフにしています)
データ参照元:Investing.com S&P500過去データ
S&P500(円換算後)は、5年くらいの期間ではマイナス成長の場合もありますが、30年という長い期間で平均化すると、毎年6.9%もの割合で値上がりしていることになります。
利率6.9%の場合、10年と数か月で価格が約2倍になります。
ここから分かることは、米国株式指数に連動した投資信託で運用する場合、5年よりもずっと長く、10年や20年先を見越して保有する必要があるということ。
将来のことは分かりませんが、過去の事例にならうと、それだけ長期間保有すれば相応の利益が得られる可能性が高いということです。
「実際にはどれくらいの期間運用すれば良いの?」と思われる方のために、もう一つデータをご紹介します。
引用元:「ウォール街のランダム・ウォーカー」バートン・マルキール著
これは1950年から2013年までの63年間のあいだに、「ある特定の〇〇年間」を切り出したときのリターンの幅を示したものです。
たとえば1年間だけ運用したとすれば、52.62%もの利益が得られた年もあれば、37%も損失となった年もあります。
この「リターンの振れ幅」は運用期間の増加とともに減っていき、15年間運用では19.1%から4.21%の範囲となります。
63年間のうち、どの15年をとってもリターンがマイナスになることは無かった、ということです。
繰り返しになりますが、もちろん将来のことは誰にも分かりません。
しかし、過去数十年にわたり繰り返されてきた市場の動きが、次の15年で突然大きく変わってしまうことも、それほど大きい確率とは考えにくいのかなと。
ここまでをまとめます。
・長期間の運用によって、(確実ではないものの)リターンがプラスとなる可能性は高くなる
・最低限の知識を持っていれば、運用を継続するのに手間はそれほどかからない
期待される成果と、それを得るのに要する手間を考えて、投資信託による運用がコストパフォーマンスが良いと、私は判断しています。
投資信託を用いた運用の注意点
投資信託による運用をするうえで、注意すべきことを幾つかご紹介します。
手数料が安い投資信託を購入する
ネット証券で購入すれば、投資信託の購入手数料はほぼ無料となっていますが、管理手数料(信託報酬)は必ずかかります。
大きな利益を狙う運用法ではないこと、長期保有することから、管理手数料が安いものを選ぶのが基本です。
私の目安は高くても0.5%、メインで保有するものは0.2%未満にしています。
学びかた、買いかたを間違えない
投資信託にはとてもたくさんの種類があるため、最初はどれを選んでよいか分からないと思います。
しかし、銀行や証券会社の担当者など、「投資信託を売っている人」に相談するのはオススメできません。
販売員が、その商品の使い方やリスクまで完璧に把握しているとは限らないし、銀行などは扱っている投資信託が限定的なためです。
「投資信託を用いた運用を実行していて、実績がある経験者」が発信している情報から学びましょう。
最近は「投資系YouTuber」の動画を参考にする人も増えているようです(私もそうです)。
読書が苦にならない方なら、本から学ぶことも有効です。
「最もオススメできる一冊」をご紹介しておきます。
自分で学んで理解し、ネット証券口座を開設して購入することが、投資信託を用いた運用の基本と思います。
リスクを理解してから運用を始める
最後に、あくまで「元本保証ではない」のをよく理解しておくことです。
実際に投資信託を購入してみると、値下がりしたときに資産が目減りしていくのを体感することになります。
これはよい気分ではないです。
値下がり局面でも運用を継続できるよう、自分自身の「リスク許容度」を把握しておくことが大切です。
私の場合は現金(預貯金)の保有比率を大きくし、余裕がある範囲で投資信託の運用をするようにしています。
さらに、ソーシャルレンディングなど、投資信託以外の運用も行うことでリスク分散させようとしています。
NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)はしたほうが良い?
投資信託による運用を行う場合、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)を利用すべきか、ということがよく話題となります。
通常、投資信託を売却したときの利益には、20.315%の税金がかかります。
NISAやiDeCoは、この売却益にかかる税金が免除されるという制度です。
(両制度の違いはいろいろありますが、長くなるのでここでは割愛します)
これらの税制優遇制度をやるべきと推奨する記事をよく見かけますが、これは運用する人によります。
自分の資産運用・投資のスタイルが決まっていて、それにNISAやiDeCoがマッチするならやった方が良いし、そうでないなら必要ありません。
私は会社員時代は「必要なし」と判断してやっていませんでした。
一方、セミリタイア生活には「必要あり」と考えていて、これから活用しようと思っています。
まとめ
あくまで私個人の考えですが、リタイア生活を開始する年齢が若いほど、資産運用はしたほうが良いと思います。
若ければ運用期間も長くとれるので、長期運用に向いている投資信託との相性がよくなります。
投資信託は「正しい銘柄選び」 をして「長期間運用」すれば、手間をかけずにリターン(利益)が得られる可能性が高くなります。
コストパフォーマンスが良いと感じるから、私は自身の資産運用の中心軸に投資信託を置いています。
また、46歳からのセミリタイアということで、運用期間も15年、20年以上は見込めることも、長期運用と相性のよい投資信託を選択する理由となります。